2022/04/20 22:32
バイトから帰ると、アパートのドアの前に、またあの人がいた。あのときと同じように、ドアに寄りかかって、うずくまっている。
私はこの人を知っている。近づいて声をかけてみた。
──李さん、久しぶり。元気だった?
彼はびっくりしたように私を見上げた。
──誰ですか?
…ん??
私を覚えていないのだろうか。いやいや、それならここに何しに来たの。彼はひどく怯えた様子で、アパートの廊下を見回している。廊下に他の住人は誰もいない。4月とは言え、まだ夜は肌寒かった。
──まあ、中に入ろう。ここで立ち話もなんだから。
私はかばんから鍵を出した。彼はそれを見て、目を丸くした。
──あなた、誰ですか?ここは私の家です。鍵がなくて、入れません。
なんだか様子がおかしい。
──いいから、開けるよ。ちょっとどいて。
立ち上がった彼を押しのけるようにして鍵を差し込み、ドアを開けた。彼は急いで中に入ったが、中の様子を見て更に驚いている。あの日と全く同じだった。
──どういうことですか。ここは私の家なのに、私の家じゃない。
──もしかして、また…?
──私は怪我をしました。ここまで逃げてきました。
動揺して、だんだん中国語まじりの早口になっていく。
──大丈夫。大丈夫だから。説明するから。
異世界にでも迷い込んだような混乱状態で、玄関に立ちふさがる彼をなんとか中へ押し込んで、私はドアを閉めた。