2022/04/25 18:11
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李さんは予告通りに、辺りが暗くなり始めた頃に帰ってきた。出掛けたときには持っていなかったはずの、黒い帽子をかぶっていた。
──駅前まで歩いたので、商店街を見ていて、なんとなく買ってしまいました。なんだか頭の上から、魂が抜けてしまいそうな気がして。
その帽子は、李さんの服装に全然合っていなかった。私は、悪いと思いながらも少し笑った。消えたりせずに帰ってきてくれた事に、ほっとしていた。
──似合ってないよ。
──いいんです。こうしていたら、随分落ち着きました。まだ説明はできませんが、家族に電話します。私は大丈夫だと。
──何か、わかったの?
──いいえ、何も。ただ、大丈夫だと思っただけです。
精神力には自信がある、と言った李さんの言葉は、あながち強がりでもなかったらしい。私なら、自分の死体なんか見たら、その場で発狂しそうだ。とても大丈夫ではいられない。
でも、おかげで私の方も、急いで頭に叩き込んだことを話せそうな気がした。