「森澤家大十三結社之秘傳」-3 (現代語要約)


 かくして「森澤家大十三結社」が結成された。昭和17年2月17日、昭和20年10月10日、昭和24年6月2日に再帰を迎え、一族はそのたびに一定の動揺は示すものの、自分自身の記録を見て受け入れ、どうにか安泰を保っていた。

軌道に乗ってみると、人間として年老いていく長男と、弟妹たちとの差は歴然となってくる。跡継ぎとは言え、保険として不老不死の恩恵を受けそこねた長男は、歳をとらない彼らを羨むようになった。そして昭和28年1月22日、長男は事前に防空壕に収められていた叔父・総介の遺体を持ち出して遺棄し、自らがそこに収まった。再帰後、そこに総介は現れず、代わりに新たな肉体を得た長男がいた。

戦争は終わり、差し迫った生命の危険は世の中から遠ざかっていたが、結社を解体する方法は、誰も知らされていなかった。彼らは1331日ごとに繰り返される無限のサイクルに、閉じ込められていた。いつしか長男は近隣の目を避けて屋敷を空けるようになり、長男の嫁も死去。再帰の日を除いて、森澤家の屋敷は完全に空き家となった。

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この無限のサイクルに、最初に悲鳴を上げたのが五男の智也だった。未婚のまま不老不死となった若い彼にとって、人生を共に歩む伴侶を得られない孤独は、記憶を失っていてさえも耐え難いものだった。ノートの記録を読んで長男が叔父と入れ替わった方法を知り、五男は秘密裏に自殺を図る。

2015年1月5日。一族が目覚めると、ひとりだけ家族ではない者がいた。驚いた森澤家の面々は咄嗟に彼を眠らせ、そして屋敷内に残されていた遺書から、五男が自殺したことを知った。この「新参者」は、五男の代わりだったのだ。

長男が子を作らずに叔父と入れ替わってしまったため、森澤家にはもう他に代理がいなかった。ひとりでも欠ければ、結社は崩壊する恐れがある。善後策が見つかるまでは、再帰のたびにこの男の覚醒を遅らせ、秘密を見せずにおくしかない──。